検討は次の順がおすすめです。

  1. 比較前の3確認(何と比べるか)
  2. イベント向けSaaSを同型で比較し、手数料・契約の試算まで進める
  3. 運用で確認したいこととSaaSの設計限界を読む
  4. 導入の流れどおり見積依頼する(1イベントだけか周遊券も同時かを要件として決める)

以下、この順で説明します。

比較の前に確認する3つのこと

イベント向けチケット販売システムの情報を集めると、各社LPや「○選」比較記事が並びがちです。一覧に出てくる名前の多くは イベント・施設向けクラウド販売(SaaS) — 1イベントのチケット販売と着券を任せるサービスです(前売り・当日のどちらも、同一イベントの販売フローで扱う設計が多いです)。一方、振興券基盤、周遊券、交通乗車券、宿泊OTAは別の設計であり、イベント向け販売の比較表に混ぜると、比べる対象そのものが一致しません。

2つの型の見分け|クラウド販売(SaaS)と施策専用サイト

比較表では、同じ型のサービス同士を並べるのが一般的です。下表の左が イベント向けクラウド販売(SaaS)、右が 施策専用サイト の型です。

比較の型イベント向けクラウド販売(SaaS)施策専用サイト
設計の中心1イベントのチケット販売・着券。主催者1宛精算。各社販売ページ中心複数券種・配布条件・精算の一体。専用ドメイン・ウォレット
比較の進め方e+・チケミー等、同型2〜3社に同じ確認項目で照会1イベント販売だけの見積と、一体運用用の相談を別メモに分ける
下の3つの確認1つ目が中心で2・3が該当しなければ SaaS比較2または3が該当するなら 先に範囲を整理

サービス名を並べる前に、次の 3つ をメモしておくとよいです。

  1. 1イベント(または1シーズン)の有料チケット販売・着券までで、やりたいことが整理できるか
  2. 振興券・周遊券・交通セット・OTA連携を、最初から同じタイミングで必要としているか
  3. 複数券種を1画面にまとめたい、条件付き配布、複数事業者への精算のどれかが必要か

1つ目だけが中心で、2・3に当てはまるものがなければ、イベント向けSaaS 同士の比較に進みやすいです。

2または3に当てはまるものがある場合、SaaS同士の比較表だけでは判断材料がそろいにくいです。1イベント販売だけの見積と一体運用まで含めた相談を分けて依頼するか、施策全体の要件を整理し直す方法があります。

施設の継続運用(貸館・窓口・会員管理)は、単発イベント向けSaaSとは別レイヤーです。美術館の常設入場や会員管理まで含める場合は、イベントSaaS単体では設計が完結しないことが多いです。

主要サービス比較|イベント向けクラウド販売(SaaS)

3つの確認で イベント向けSaaS に該当しそうなとき、流通・告知の厚みと必要な機能(指定席・抽選・配信・LINE 等)から2〜3社に絞るケースが多いです。料金・機能の細部は見積で確認します。

イベント向けクラウド販売の主要候補

表は横にスクロールできます

優先サービス選ぶときの目安向きやすい条件
1イープラス WOS国内最大級の流通。利用15,000団体以上・累計350,000イベント以上・会員2,600万人超(2024年12月時点)指定席・抽選・流通告知・中〜大規模
2チケミー自治体・公共向けの解説・事例が多い。初期費用なし・従量課金のプランが多い小〜中規模・年数回のイベント販売
3teket座席・抽選・配信を同一イベントで扱える。自治体イベントの事例あり配信をチケット販売と一体で運用するとき

手数料と契約|試算の入口

イベントチケットの販売コストは、従量・登録料・コンビニ・用紙代が混ざります。サービスによって 登録料+従量 と 従量のみ が混在するため、1イベントあたりの総額で見比べるのが一般的です。手数料は重要ですが、返金・コンビニ・当日サポートや、後から足したい券種・機能が総コストとリスクに効くこともあります。

各社サイト等に掲載されている料金の目安(プラン・時点により変わります):

サービス目安備考
イープラス WOS ライト公演登録5,000円(税抜)+ 販売手数料8%自由席等
イープラス WOS スタンダード登録10,000円(税抜)+ プレ8%/一般10%指定席・抽選
チケミー初期0・従量5%前後プラン・案件により異なる
teket自由8%/指定10%前後プラン・案件により異なる

試算の例(概算): 単価3,000円×500枚=売上150万円で従量8%のみ仮置きすると、販売手数料は約12万円+公演登録料(コンビニ・用紙・返金は別途)。年間複数公演やプラン組み合わせは、見積のたびに総額で見直す必要があります。

イベントチケット販売の手数料比較イメージ
イベントチケット販売の手数料比較イメージ

比較の主軸(e+ とチケミー)

公共イベントのチケット販売では、プレイガイド(公演・イベントの前売りチケットを扱う流通サイト)として流通の厚みがある イープラス(e+) と、自治体向け解説・事例が多い チケミー を、同じ確認項目で並べるところから始める例が多いです。

比較軸イープラス(e+)WOSチケミー
位置づけイープラス上での販売・スマチケ・流通会員基盤クラウド型販売。主催者サイト中心
向く規模中〜大規模、指定席・抽選、リピート開催小〜中規模、年数回
販売機能指定席・抽選・スマチケ・コンビニ・手売り印刷QR電子、コンビニ併用、海外販売
告知会員約2,600万人規模への告知枠(条件あり)主催者集客中心

ベンダーへの確認項目|運用・機能(e+ / チケミー / teket)

e+・チケミー・teket には、下表の項目をそのまま照会し、回答を並べて比較する方法があります。

表は横にスクロールできます

確認したいことイープラス(e+)WOSチケミーteket
当日着券スマチケ(回線不要で着券できる訴求あり)QR電子プランによる
デジタル弱者コンビニ発券・手売り印刷コンビニ併用プランによる
指定席・抽選スタンダードプラン抽選対応座席・抽選
配信を販売と一体プラン・オプションによるプラン・オプションによる同一イベントで配信
返金・公演中止プラン・運用依存返金対応ありプラン・運用依存

teket は、配信一体など e+・チケミーと必要機能が一致しないときの追加候補です。一体ウォレット・独自精算・条件付き配布は SaaS の商品枠外になりやすく、周遊を同じ画面に統合したい場合などは、見積前にオプションで対応できるか/別の作り方になるかをベンダーに確認するとよいです。

運用で確認したいこと|見積前

上記 確認項目の表 を、候補ごとに埋めて比較する流れです。読取機器不要のサービスでも、入場動線・通信 は説明会資料や社内打合せ資料に書いておくと、当日の段取りが共有しやすくなります。一体ウォレットなどが最初から必要な場合は、SaaS比較に入る前に、冒頭の 3つの確認 から整理し直すケースがあります。

SaaSの設計上の限界|一体運用が必要なとき

イベント・施設向けクラウド販売(SaaS)は、購入または抽選で取得し、主催者1宛に精算が完結する 1イベント(または1シーズン) に向いていることが多いです。難しくなるのは、ベンダーの機能不足というより、サービスの想定とやりたいことが一致しないときに多いです。

SaaSは「1商品・1イベント・1精算先」が前提

論点イベントSaaSの典型一致しないときに起きやすいこと
券種イベントごとに商品登録イベント券+周遊+クーポンを同一ウォレットに統合したい。別商品の組み合わせになり、利用者体験が崩れやすい
取得購入・抽選条件付き無料配布(来訪者限定等)。標準フロー外で運用の穴が出やすい
精算主催者への振込複数事業者分配・独自CSV・監査。会計・補助事業で再設計が必要
チャネルサービス上で完結既存OTA・宿泊予約で決済済みの権利付与。レーンが異なる
サイト・ドメインサービス販売ページ+主催者名施策専用ドメイン・多言語一体。テンプレ外の構築

後から「もう1商品(周遊券など)を追加したい」とき

イベント向けSaaSで進めたあと「周遊も同画面」「振興券を後付け」「来訪者限定配布」が出ると、二重運用や見積の作り直しにつながる例があります。機能追加というより 本来の作り方が変わる 話なので、1イベント販売だけの見積と一体運用の相談を最初から分けておくか、1イベントに絞るかを、関係者と早めに共有しておくとよいです。

施策専用サイトを検討する目安

次のうち 2項目以上 に当てはまる場合、施策専用サイトの型も検討対象に入ります。交通+施設セットは、既存の周遊基盤で運用する例もあり、すべてが専用サイト必須というわけではありません。

  • 複数券種の一体ウォレット
  • 条件付き配布・独自取得ルール
  • 複数事業者への独自精算
  • 施策専用ドメイン・多言語サイト一体
イベントSaaS比較と専用サイトの境界
イベントSaaS比較と専用サイトの境界

導入の流れ|整理から見積依頼まで

  1. 3つの確認 — 何と比べるか整理する。SaaS比較に進むか、相談内容を分けるか
  2. 依頼内容を2つに分ける — 「1イベントの販売・着券」/「一体ウォレット・精算・配布条件」。後者がある場合は、1イベント販売だけの見積表と混ぜず別メモにする
  3. 1イベントの販売だけ — e+・チケミーを軸に、必要機能が合えば teket 等を加え、2〜3社に同じ確認項目(上表)で照会
  4. 手数料試算・利用開始 — 1イベントあたりの総額で比較(手数料だけにしない)。券種・規約・返金を確認して利用開始

導入事例|和歌山県 KiiPass(イベントSaaSとの対比)

和歌山県 KiiPass は、複数交通・施設を同一ウォレットで回る広域周遊パスを施策専用サイトで一体運用している例です(SmartPlate Ticket)。イベント向けSaaSとは型が異なります。概要は KiiPass 広域周遊パスの事例 で確認できます。

SmartPlate Ticket · 導入事例 広域周遊パス 導入事例|和歌山県 KiiPass Web購入から交通・施設・特典を同一ウォレット。広域連携の精算を一括管理する周遊パス型。

まとめ

  1. 3つの確認事項をメモし、イベント向けSaaS同士で比べる前提かどうかを決める
  2. 同型候補2〜3社の比較表に、手数料・運用・機能の列を埋め、1イベント総額と契約条項の抜けを確認する
  3. 一体運用・独自精算が要件なら、SaaS限界を踏まえ別相談の要否を書く
  4. 見積依頼・利用開始日程を決め、試験購入の担当を指名する

機能・導入イメージの詳細は、サービスサイトで確認できます。

よくある質問

Q1. 比較記事に載っているサービスは、どう並べればよいですか?

流通・告知の厚み→公共向け事例→必要な機能の順で2〜3社に絞り、確認項目の表で回答を並べる方法があります。多くは e+ とチケミーから始め、配信一体などで teket を加える例もあります。

Q2. あるサービスのサイトに施設向け事例がある。これですべて対応できますか?

イベント向けSaaSの多くは 1イベントの販売 が設計の中心です。施設の貸館・会員・窓口連携や、複数券種の一体運用は別レイヤーです。1イベントの販売・着券に絞る場合はSaaS、運用全体を含める場合は施設票券・専用サイトの型を分けて考えると整理しやすいです。

Q3. 手数料が安いサービスを選べば、導入は成功しますか?

手数料試算は有用ですが、SaaSの枠外の機能(一体ウォレット、条件付き配布、複数事業者精算)を後から追加すると、SaaS見積だけでは吸収できず二重運用になりやすいです。先に3つの確認と、1イベント販売だけの見積・一体運用の相談を分けるかどうかを確認しておくとよいです。

  • 自治体のチケット販売デジタル化 — 販売チャネル全体の型(4カテゴリ)
  • 自治体のイベントチケット導入|紙からの移行手順 — サービス決定後の現場移行
  • 文化施設・美術館のチケットデジタル化(近日公開) — 施設の継続運用とイベントSaaSの境界
  • チケット販売プラットフォームの手数料比較(近日公開) — 1イベント総額の試算
  • 施策専用チケットシステムの選び方(近日公開) — SaaS限界を超える要件
  • 周遊券のデジタル化(近日公開) — 交通+施設セットの別型

関連サービス

SmartPlate Ticket — 複数券種・取得条件・独自精算向け

SaaSの商品枠に収まりにくい作り(一体ウォレット、条件付き配布、複数事業者精算)向けの SmartPlate Ticket です。KiiPass のように、イベントSaaSでは設計しにくい一体運用の概要は、SmartPlate Ticket サービスサイトで確認できます。

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