本記事は、2026年11月2日時点で公開されている資料をもとにした一般的な観点の整理です。個別の手続きの要件や、法令の解釈は、各自治体の所管部門と、システムを提供する事業者、必要に応じて専門家に確認してください。引用した資料は改訂が続くため、実際の作業の時点で最新の内容を確認してください。

2 つの電子証明書の違い

デジタル庁の「公的個人認証サービス(JPKI)導入」のページは、2 つの証明書の用途を、次のように説明しています。

  • 署名用 — インターネットで申込みや契約などの電子文書を作成・送信するときに使われ、その文書が「利用者が作成した真正なものであり、利用者が送信したもの」であることを確かめられる
  • 利用者証明用 — 主にインターネットサイトなどにログインするときに使われ、ログインした人が利用者本人であることを確かめられる

同じページは、2 つの主な差異は、電子証明書の中に基本 4 情報を保持するかどうかで、利用者証明用は、本人であることが確認できればよいため、基本 4 情報を保持していないと説明しています。

署名用電子証明書は、申請書などに電子署名をし、暗証番号は英数字 6 から 16 桁で、氏名・住所などを含む。利用者証明用電子証明書は、ログインで本人を確認し、暗証番号は数字 4 桁で、氏名・住所などは含まない、と左右に並べた図
署名用(左)と利用者証明用(右)の主な違い

表は横にスクロールできます

項目署名用電子証明書利用者証明用電子証明書
主な用途電子申請などで、電子文書に電子署名を付けるログインなどで、本人であることを確かめる
暗証番号英数字 6〜16 桁(5 回間違えるとロック)数字 4 桁(3 回間違えるとロック)
基本 4 情報保持する(氏名、住所、性別、生年月日)保持しない
氏名・住所の変更変更があると失効する場合があるこの理由では失効の対象になっていない
有効期間どちらも、発行から 5 回目の誕生日まで(年齢を問わない)。有効期間が切れる前でも、紛失・盗難・故障などで失効する場合がある

暗証番号のロックの回数と、ロックの解除の方法は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の公的個人認証サービスのサイトに示されています。解除は、スマートフォンのアプリとコンビニエンスストアの端末で初期化・再設定する方法と、住所のある市区町村の窓口で再設定する方法があります。氏名や住所が変わったときの署名用の失効は、デジタル庁の自治体向けのよくある質問に、結婚や転居で氏名や住所が変わると、署名用電子証明書としての機能を使用できなくなると書かれています。

電子署名が法的にどう扱われるかは、手続きの根拠となる法令によります。署名を求める手続きでは、所管部門に確認してください。

自治体のオンライン手続きでの使い分け

デジタル庁の自治体向けのよくある質問は、利用者証明用は本人であることを証明する手段として、署名用は電子署名を行う手段として使えると説明しています。例として、利用者証明用はマイナポータルへのログインやコンビニでの証明書交付など、署名用は e-Tax の確定申告やマイナポータルの子育てなどの電子申請での電子署名が挙げられています。

デジタル庁の「マイナアプリ(自治体向け)」のページでは、マイナアプリが、ログイン認証(利用者証明用電子証明書)と、電子署名の付与(署名用電子証明書)に対応していることが示されています。電子署名の付与は、Web システムから受け取った署名の対象のデータに、署名用電子証明書で電子署名を行う、とされています。

ここで大切なのは、手続きごとに、ログインだけで済むのか、電子署名まで必要なのかが異なることです。「申請なら必ず署名用」と決めてしまうと、本来はログインだけで足りる手続きにも、暗証番号が長くて入力の負担が大きい署名用を求めることになります。反対に、署名の効果が必要な手続きに、ログインだけの仕組みを使うことはできません。

スマートフォン用電子証明書でも、2 種類がある

デジタル庁の「スマートフォンのマイナンバーカード」のページには、Android で 2023年5月に「Android スマホ用電子証明書搭載サービス」の提供を開始し、iPhone では 2025年6月24日に「iPhone のマイナンバーカード」の提供を開始し、2026年10月20日からは「Android のマイナンバーカード」の提供を開始した、と書かれています(最終更新 2026年10月20日)。

デジタル庁の「マイナアプリ(自治体向け)」のページには、マイナンバーカードと同等の機能(署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書)を持った、スマートフォン用の電子証明書を搭載する機能がある、と書かれています。また、デジタル庁・総務省の「公的個人認証サービス利用のための民間事業者向けガイドライン」(第 1.8 版、令和8年4月改正)は、スマートフォンでは数字 4 桁の暗証番号の代わりに生体認証を使えるが、署名用電子証明書は対象外としています。

自治体のサービスを設計するときは、住民が実物のカードでも、スマートフォンでも使えることを前提に、どの場面でどの証明書を求めるかを、端末によって変えないように決めます。使える場所や機能は拡大中で、OS により異なる場合があるため、デジタル庁の最新の案内を確認してください。

15 歳未満の人の扱い

マイナンバーカード総合サイトは、15 歳未満の人には、原則として、署名用電子証明書をマイナンバーカードに付けることができないとしています。子どもが自分で署名を伴う手続きを行うことが、原則としてできないことになります。保護者が代わりに行う場合の考え方は、「子育て手続きの親子アカウント紐付け」で整理しています。

一方、15 歳未満の人の利用者証明用電子証明書の扱いは、本記事で確認した公的な資料の範囲では、明示した記述を見つけられませんでした。子どもがログインする手続きを設計する場合は、各自治体の所管部門で、最新の取扱いを確認してください。

自治体が設計で決める 6 つのこと

2 つの証明書を、自治体のサービスでどう使うかは、次の 6 点で整理できます。自治体のサービスについて直接当てはまる基準は見当たらないため、表は本記事による整理です。

表は横にスクロールできます

#決めること選択肢の例仕様書・運用に書くこと
1何を確かめるかログインした人が本人であること/申請書の作成者と、内容が改ざんされていないこと手続きごとに、確かめたい内容と、その根拠となる法令
2手続きごとの方式利用者証明用のログインだけ/署名用の電子署名まで/LINE やメールのログインも併用手続きと方式の対応表。住民が迷わない順序
3子ども・代理人の扱い保護者のログインで代理する/子どもの手続きは窓口を残す15 歳未満で署名用が付かないことを前提にした手順
4暗証番号のロックの案内ロックの回数と解除の方法を画面で案内する署名用と利用者証明用で回数が違うこと、解除の窓口
5更新・失効の扱い署名用が使えなくなったときの案内/有効期間が切れたときの案内氏名・住所の変更後に署名用で手続きできない場合の代替
6有効性の確認方法失効情報を J-LIS から取得して確認する確認の間隔と、失効情報の更新間隔の差への対応

特に判断が分かれる 2 点を、順に見ます。

手続きごとの方式

住民向けのサービスには、図書館の貸出、施設の予約、各種の申請など、確かめたい内容の異なる手続きが並びます。全部に署名用を求めるのではなく、ログインで足りる手続きは利用者証明用、署名の効果が必要な手続きは署名用というように、手続きごとに決めると、住民の負担を抑えられます。マイナンバーカードを持たない住民のために、LINE やメールアドレスでのログインを併用する場合は、確かめられる水準が異なるため、どの手続きにどの方式を使えるかを分けて決めます。水準の考え方は、「行政手続きの本人確認の水準」で整理しています。

更新・失効と、有効性の確認

電子証明書は、有効期間の満了や、紛失・盗難・故障などで失効します。署名用は、氏名や住所の変更でも失効の対象になります。民間事業者向けのガイドラインは、署名検証者は、J-LIS から失効情報を入手して、電子証明書が有効かを判定するとしています。デジタル庁のページには、失効情報の提供の方式として、1 日単位で更新する方式と、15 分単位で更新する方式があると示されています。

なお、同じガイドラインは、民間事業者を想定対象者とした資料です。自治体にそのまま適用されるとは限らないため、自治体が署名検証者や利用者証明検証者になるときの手続きは、次の節で示す法令とデジタル庁の案内を確認してください。

自治体が電子証明書を使うときの手続き

電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成14年法律第153号)は、署名検証者になり得る者として、行政機関等、裁判所、地方公共団体の議会などを挙げ、これらが電子署名の確認のために失効情報の提供を求めるときは、あらかじめ J-LIS に届出をすると定めています。また、利用者証明用電子証明書の失効情報の提供を求めるときにも、同様に届出をして、取決めを結ぶとしています。

デジタル庁の自治体向けのよくある質問は、導入の手続きは「公的個人認証サービス(JPKI)導入」のページを参照するとし、プラットフォーム事業者が提供しているサービスを活用することが、早く利用する方法の 1 つであると案内しています。どの区分で届け出るか、プラットフォーム事業者を使うかどうかは、自治体が、デジタル庁の最新の案内を確認して決めます。

調達の全体像は、「自治体の認証基盤 調達チェックリスト」にまとめています。マイナアプリ統合による名称や画面表記の変更は、「マイナアプリ統合で、自治体の本人確認はどう変わるか」で整理しています。

RinX の場合

当社の自治体向け統合 ID 基盤 RinX(リンクス)は、本人確認の手段として、マイナンバーカードによる本人確認(公的個人認証)、LINE、メールアドレスのログインに対応しています。サービスページで公開している内容は次のとおりです。

  • 本人確認の手段 — マイナンバーカードによる本人確認(公的個人認証)、LINE、メールアドレスのログインに対応しています。利用する手段は、自治体ごとにご相談のうえ決定します
  • 住民の利用環境 — マイページは Web ブラウザで利用でき、RinX 専用アプリは不要です
  • 連携 — OpenID Connect によるシングルサインオンで、市民ポータルなどと連携できます
  • 家族・同意 — お子さまのアカウントの紐付けと、個人情報の利用目的に対する同意の管理に対応しています

上の 6 点に沿った個別の要件(手続きごとの方式、署名を求める手続きの有無、子どもの扱いなど)は、お問い合わせの際にご相談ください。RinX に関する記事は、RinX の記事一覧にまとめています。

まとめ

  1. 署名用は電子署名で電子文書の作成者と改ざんの有無を確かめるもの、利用者証明用はログインで本人であることを確かめるもの。基本 4 情報を保持するのは署名用だけ
  2. 暗証番号は、署名用が英数字 6〜16 桁で 5 回、利用者証明用が数字 4 桁で 3 回間違えるとロックされる
  3. どちらの証明書を求めるかは、手続きごとに決める。ログインで足りる手続きに、署名用を一律に求めない
  4. 15 歳未満の人には、署名用は原則として付けられない。利用者証明用の扱いは、所管部門で最新の取扱いを確認する
  5. 民間事業者向けのガイドラインは、自治体にそのまま適用されるとは限らない。自治体が使うときの手続きは、法令とデジタル庁の案内で確認する

RinX の機能・導入の流れ・費用の考え方は、サービスページで確認できます。

よくある質問

Q1. 署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の違いは何ですか?

署名用は、申請書などの電子文書に電子署名を付け、作成者と、内容が改ざんされていないことを確かめるための証明書です。利用者証明用は、ログインなどで、本人であることを確かめるための証明書です。主な差異は、基本 4 情報(住所、氏名、性別、生年月日)を保持するかどうかで、署名用は保持し、利用者証明用は保持していません。

Q2. 暗証番号は、どう違いますか?

J-LIS の公的個人認証サービスのサイトでは、署名用は英数字 6〜16 桁で 5 回間違えるとロックされ、利用者証明用は数字 4 桁で 3 回間違えるとロックされると示されています。ロックの解除は、スマートフォンのアプリとコンビニエンスストアの端末で初期化・再設定する方法と、住所のある市区町村の窓口で再設定する方法があります。

Q3. 引っ越したり、結婚したりすると、どうなりますか?

署名用電子証明書は基本 4 情報を保持しているため、氏名や住所に変更があると、署名用としての機能を使用できなくなると、デジタル庁の自治体向けのよくある質問に書かれています。利用者証明用は基本 4 情報を保持していないため、この理由では失効の対象になっていません。

Q4. 自治体のオンライン手続きでは、どちらを使いますか?

手続きによって異なります。ログインで本人を確かめる場面には利用者証明用、申請書などに電子署名を付ける場面には署名用が使われます。手続きごとに、ログインが必要か、電子署名が必要かを確認して、方式を決めます。

Q5. スマートフォンのマイナンバーカードでも、署名用と利用者証明用の両方を使えますか?

デジタル庁の「マイナアプリ(自治体向け)」のページには、マイナンバーカードと同等の機能(署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書)を持った、スマートフォン用の電子証明書を搭載する機能があると書かれています。ただし、スマートフォンの生体認証は、署名用電子証明書では使えないとガイドラインに示されています。使える場所や機能は拡大中のため、最新の案内を確認してください。

Q6. 15 歳未満の子どもは、電子証明書を使えますか?

マイナンバーカード総合サイトは、15 歳未満の人には、原則として、署名用電子証明書を付けられないとしています。利用者証明用電子証明書の扱いは、本記事で確認した公的な資料の範囲では、明示した記述を見つけられませんでした。各自治体の所管部門で、最新の取扱いを確認してください。

Q7. RinX では、マイナンバーカードによる本人確認を使えますか?

サービスページでは、マイナンバーカードによる本人確認(公的個人認証)、LINE、メールアドレスのログインに対応していることを公開しています。どの手段を、どの手続きで使うかは、自治体ごとにご相談のうえ決定します。署名を求める手続きの有無などの個別の要件は、お問い合わせの際にご相談ください。

出典・参考資料

いずれも2026年11月2日に内容を確認しています。

  1. デジタル庁『公的個人認証サービス(JPKI)導入』(最終更新 2026年10月13日)digital.go.jp
  2. デジタル庁『よくある質問(FAQ):自治体向けマイナンバーカード利活用』(最終更新 2026年9月18日)digital.go.jp
  3. デジタル庁『マイナアプリ(自治体向け)』(最終更新 2026年8月25日)digital.go.jp
  4. デジタル庁『スマートフォンのマイナンバーカード』(最終更新 2026年10月20日)digital.go.jp
  5. デジタル庁・総務省『公的個人認証サービス利用のための民間事業者向けガイドライン -第1.8版-』(平成27年9月、令和8年4月改正)soumu.go.jp
  6. 地方公共団体情報システム機構(J-LIS)『公的個人認証サービスポータルサイト』jpki.go.jp
  7. マイナンバーカード総合サイト『電子証明書とは何ですか?』kojinbango-card.go.jp
  8. e-Gov 法令検索『電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律』(平成14年法律第153号)laws.e-gov.go.jp

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